岡田ジャパン、10月シリーズ最大の収穫は?

岡崎は覚醒し、新戦力の台頭、主力との融合もあったが…

香港戦(8日)、スコットランド戦(10日)に続く大勝。日本代表は14日、トーゴにも5−0と快勝し、10月シリーズを3連勝で終えた。

岡崎慎司がまるでエースストライカーたらんと覚醒したかのように、香港戦に続くハットトリックを達成すると、注目された森本貴幸もA代表初先発で初ゴール。本田圭佑スコットランド戦に続く2試合連続ゴールで強く存在をアピールした。

期待された主力組と新戦力の融合という意味でも、まずまずの成果はあった。森本は岡崎との2トップで先発し、45分間プレー。大柄のDFを背負いながら振り向き様にゴールを決めただけでなく、先制点の場面では自らつぶれ役となって岡崎のゴールを演出するなど、味方を生かすプレーも見せた。本田にしても後半からの出場となったがチーム最多7本のシュートを放つなど積極的な動きを見せた。85分には、こぼれ球を逃さず左足シュートで1点。中村俊輔の丁寧なラストパスをヘッドで狙うもポストに当ててしまう場面があったが、最後には帳尻を合わす形となった。

岡田武史監督が、流れを変えるスーパーサブとして期待する石川直宏佐藤寿人も短い時間ながら、それぞれ持ち味を発揮。ディフェンスラインでは、これまで絶対的なレギュラーであった内田篤人ではなく徳永悠平が右サイドバックで先発するなど、定位置奪取に向け新戦力の台頭を印象付けた。

惜しむべきは、センターバックについて、次なるトライがなかったこと。10日のスコットランド戦では岩政大樹が持ち前の競り合いの強さを発揮し、阿部勇樹とのコンビで高さのある相手を完封。第3のセンターバック候補に名乗りを上げたものの、主力組の中澤佑二田中マルクス闘莉王との共演は見られず。代表初招集となった岩下敬輔は、ついに出番なく10日間の日程を終えた。

メディアでも「覚醒」、「融合」、「台頭」など、さまざまなキーワードが踊り、一見すると収穫は多かったように思う。ただし、サッカーは相対的なスポーツで、相手の状態を考慮せず、一方的に評価、内容を判断することは難しい。

アフリカの新興チームとはいえ、トーゴの出来があまりにひどかったことは、見逃せない。

トーゴのレベルの低さ、気力のなさは、みにくい限りだった。10日のカメルーン戦に敗れ、W杯出場への希望が断たれたことでのモチベーション低下、カメルーンからおよそ36時間をかけての移動、わずかメンバー14人での来日、アデバヨールら主力不在と要因はさまざまだが、要するに戦う準備がまるで整っていなかったということである。

もちろん、非はトーゴにある。ただ、日本のマッチメークにも多分に問題があったことは確かだ。トーゴは2006年のW杯でも、ボーナス問題を巡って協会と選手が対立。大会期間中にも関わらずボイコット騒ぎを起こしていただけに、協会と選手間の関係がスムーズにいっていないのは明らかだった。この時期に、W杯出場を逃したことは誤算だったとはいえ、効果的なテストマッチを行いたいのであれば、前歴を考え慎重な吟味が必要だったはずだ。

ガーナ戦でのシュート数は日本の30に対し、ガーナは1。10月の3試合を通しても、日本は計13点を挙げながら、被シュート数はわずかに4(香港2、スコットランド1)。この数字だけを見れば、“ベスト4も夢ではない”かもしれない。ただし、W杯でこのような相手は存在しない。

9月のオランダ遠征でも明らかになったように、ホームで、観光気分でやって来た相手ばかりと試合をしていては進歩はない。もっと効果的な強化を行いたいのであれば、弾丸でもアウェーに行くなり、工夫が必要だ。

この10月シリーズで、岡崎は絶対的なストライカーへと変貌を遂げたように見え、新戦力にもめどはつき始めた。しかし、相手が相手では評価しようにも難しさは否めない。となれば最大の収穫は、残念ながら改めてマッチメークの重要性を考えさせられたこととしか言えないのかもしれない。